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柄澤齊(からさわ あきら)展を見る [アート]

  昨日は木口木版作家の柄澤齊展を鎌倉(神奈川県立近代美術館本館)に見に行きました。新聞屋さんから無料の招待券を頂いたので足を運んだだけのことで、柄澤齊さんの名前はそれまで全く知りませんでした。しかし、印象深い展示会で一挙に柄澤齊さんの世界に引き込まれました。
 
 木口木版というのは極めて精緻な木版画のこと、ということも初めて知りました。まるでエッチングのようです。

 全く予期していなかったのですが、訪れた時、丁度柄澤齊さん本人による公開制作が館内で行われていました。

 そこでご本人の様々な説明もあったのですが、普通の木版画は木の板目面を使用して行われるが、木口木版はまさに木口を版として使うということでした。公開制作では1800年代後半にイギリスで作られた木版用の「版画機械」も実際に使われていました。版となる木の素材としてヨーロッパの柘植(ボックスウッド)が使われるとの説明もありました。

 柄澤齊さんの木口木版画は時として幻想的あり、神秘的です。そして抽象的なものを表現しても、おそろしく具象的に見えるという不思議な感じがするものです。それは通常の木版画と違い、表現される線が非常に細かいということもあるでしょう(一ミリに5本の線を入れることも可能とのことでした)。細い線を緊密に描くということだけで言えばコンピューターの方が遙かに優れた能力を発揮すると思いますが、柄澤齊さんが描く線の細さはパソコンで表現できる線の細さをとは違う気がします。

 寒山拾得(かんざんじっとく)も描かれていて少し驚きました。もちろん伝統的な寒山拾得ではありません。現代人としての寒山拾得です。大好きなピアニスト、グレン・グールドの肖像もありました。

 カタログを購入するとサイン入りのミニ版画を頂けるということなので、ひとつ購入しました。女神が舳先で導く船の中で眠る子供という構図です。

 全く新しい表現の世界を知った一日となりました。


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