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司馬遼太郎「微光のなかの宇宙」 [雑感]

空海のことを知りたいと思う人に、
司馬遼太郎の「空海の風景」は
お勧めしたい一冊です。
「風景」とあるように、空海だけのことではなく、
空海の生きた時代の風景を俯瞰している、という意味で、
まるで遊覧飛行機に乗って、その時代を眺めることができる
興味深い一冊です。

その「空海の風景」の断片が
司馬遼太郎のエッセイ集「微光のなかの宇宙」に収録されています。

興味深いのは「仏教とは何か」という問いかけが、この一冊の中で繰り返されることです。

「仏像をつくって拝むことは、
哲学者が著作を読まずにその銅像だけを拝んでいるようなものだと思う」
(密教の誕生と密教美術)

司馬遼太郎さは、今我々が接している仏教が釈迦の仏教ではなく、
現在の仏教は釈迦がいいように僧侶によって売られてしまっている、と指摘します。
祈祷や偶像崇拝や護符は、釈迦の仏教にはその片鱗さえない、と司馬遼太郎は断じます。
その延長線上で言えば、仏壇も仏具も釈迦の仏教ではありません。

では釈迦の仏教とは何かといえば、「法」です。
戒を守り、行をして、解脱に向かうことが釈尊の仏教です。

「私自身について言えば釈迦以後の仏教よりも
釈迦そのものが好きである。
仏像が出現してからの仏教よりも、
言葉だけだったころの仏教心にはげしい尊敬心を持つのである。
しかし、尊敬と魅力は、ときに別のものであるらしい」

この魅力が仏像のことです。

そしてこの後、密教仏の成立について論じられて行きます。

中公文庫 800円。

興味のある方はどうぞ

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