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松田権六展を見て想う 塗りも見所です [アート]

先日、東京竹橋の国立近代美術館工芸館で開催中の「松田権六の世界」を見ました。
松田権六は近現代の漆芸世界そのものをリードしてきた存在です。

松田権六は明治29年、金沢市で生まれます。金沢では様々な工芸が発達しましたが、現在自分が携わっている宗教用具関連の工芸としては、金沢仏壇、金沢金箔があります。
金沢仏壇は蒔絵に特徴のある仏壇ですが、松田権六の叔父、兄、従兄も仏壇関連の漆芸職人であったことがカタログには紹介されていました。松田権六は兄の仕事を手伝いながら、漆芸の道へと入っていったようです。

今回の「松田権六の世界」では松田権六の生涯をたどる作品が展示されていました。その一つひとつの蒔絵、様々な加飾技術は素晴らしいものがあると思いましたが、それ以上に目を奪われたのは、実は蒔絵などが描かれる漆黒の塗りの技術の確かさです。

松田権六はその晩年に「仕事に携わった工人の名前を記し」とありますから、作品によっては様々な人の協力の上に仕事を進めたことでしょうが、塗りは作品のベースとなる塗り自体も全て松田権六が手掛けたのでしょうか・・・・もちろん作品によっては松田が手掛けたものもあるでしょうが、お弟子さんが仕上げた作品もあることでしょう。

作品の塗りを見ると、艶と艶消しの二種類がありことが分かります。現在、自分の仕事の上で興味をもっているのが、この艶消しの塗りです。カタログの作品で言えば1-39「華文漆椀」が艶消しの作品です。

艶消しの作品は、漆の塗り面研磨を仕上げ段階の前段階(荒い仕上げ段階か)で止め、その上から摺り漆を掛け研磨して仕上げているのだろうと思いますが、どうなんでしょうか。
仏壇にもこうした艶消しの黒が欲しいと思います。

艶のある作品はいわゆる呂色仕上げと言われるもので、上質な呂色塗りは時間がたってもその艶を全く失わないということがよく理解できます。

さらに塗り面の角(エッジ)の立った感じがやはり素晴らしいと思いました。こうしたシャープな塗り面は現代の仏壇工芸の中ではあまり見ることができません。

当然のことながら木地師の腕の良さも透けてみえる作品ばかりでした。
工芸品は各職の腕の確かさで成り立っているということを再確認。

仏壇関連の人にも是非とも見て欲しい作品展です。



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