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異界と隣接する世界を描く宮崎駿監督 [映画]

宮崎駿監督の「崖の上のポニョ」が大ヒットしている。
ぼく自身はまだ見ていないのですが、
メッセージがシンプルに伝わってくる、
楽しい映画なのだと思います・

昨日の読売新聞朝刊には宗教学者・中沢新一氏による
「折り返し点のポニョ」という
論説が掲載されていました。
「折り返し点」
というのは、宮崎監督の
「この映画は自分にとっての『折り返し点』」という言葉に因むものですが、
中沢新一氏の宮崎作品に対しての論説は
なかなか魅力のあるものでした。

「思えば、数多い宮崎作品はつねに
死の世界の近くにあるものばかりを描いてきた。」

死の世界、といよりも隣接する異界、といった方がよいかもしれません。
我々は、死の香りのする隣接異界に接したとき、
誰しもが妙な興奮を覚えるのです。

仏教では四十九日ということを言います。
人は亡くなった後、四十九日間を経て
次に生まれ変わる世界が決まる、というのです。
その間、冥界では閻魔大王も登場し、
亡者はお裁きを受けながら、次の生まれ変わりを待つことになります。

この四十九日の間、亡者の家族は
異界とまさに隣接する時間を過ごすことになります。
四十九日という間は、死んだけど、生まれ変わっていない期間です。
つまり、死ぬということは、生まれ変わることで完結するのです。
その間の宙ぶらりん間は、よく考えてみると、
変なものです。

それにしても、どうして四十九日という時間なのでしょう。
一週間単位で×(掛ける)七サイクル。
それは、異界と親しく隣接期間として、最適なのでしょう。

お仏壇もまた異界と隣接するものです。
私たちは、異界との隣接間の中で、
実は精神の安定を得るのです。

中沢新一氏は次のように語ります。
「(宮崎作品を通して)現実を支配する力強い生命だけの世界を抜け出して、
弱者や死者とともに生きて行くやさしさを学んできたのだ」

これは本当に意味のある言葉だと思います。

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