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格差社会は何故生まれたのか?中谷巌氏の論文に思う [雑感]

小泉政権が実施した政策が
格差社会を生み出したと、
言われるようになってきました。

今朝の読売新聞では中谷巌氏が、
「(小泉)構造改革路線の罪・格差拡大 社会を分断」
という論文を掲載しています。
中谷氏は構造改革路線を支持し、昨年末に「懺悔の書」としての
「資本主義はなぜ自壊したのか」という一冊を上梓しました。

中谷氏は日本の貧困率が先進国の中では
ずば抜けた存在であることを指摘します。
所得者平均の半分しか稼げない人が、約15%いると言うのです。
これは所得平均が400万円であるとすれば、200万円以下の人が約15%もいる
という指摘です。

こうした視点が急に注目を集めるようになったのは
非正規労働者の契約解除や、フリーターの増大が
世間の注目を集めるようになってからです。

しかし、構造改革が本当に貧困率を生んだのでしょうか?

この10年、あるいは15年を振り返ると、
僕の接している仏壇仏具業界では、
生産資本の中国への移転が急速に進みました。
その理由は簡単です。
一つは、仏壇を作る環境に適応できる人が極めて少なくなった。つまり人手不足。
二つ目の理由は、バブル崩壊後に価格破壊が起こり、
国内製品では対応できる製品が作れないという事情があった、といことです。

この二つの要因は絡み合っているものですが、
隣国に中国という巨大な労働市場が出現したために、
人手不足と価格対応を一挙に解決できたのです。

一方、国内では中国の価格競争力に負けて、
国内産地の製造能力は一気にダウン。
倒産、廃業が相次ぎました。

雇用や人件費の問題で言えば、
日本の製造業は「付加価値創出」と同時に「低単価」も同時に求められ
やはり「低単価」が優先されてきたのです。
それは市場のニーズが低単価にあった、ということです。

であれば、日本も労働力を中国並みに流動化させ、
企業の生産需要に合わせた賃金体系、あるいは雇用を実現せざるを得ない、
それが現実です(今でもそうです)。

つまり、日本の雇用環境は「中国化」したのです。
逆に言えば、中国の価格競争力が失速すれば、日本の製造業の位置付けは
全く異なるはずです。

識者や学者は「日本の製造業は付加価値の高い製品を」と必ず言いますが、
市場を動かし、雇用を生み出しているのは、「裾物製品」つまり普及品です。

中谷氏の論説に従えば、高所得者層の持つ流動的な所得(資本)を
低所得者層へ移せということになります。
そうすればフラットとなる、というわけです。

でも本当にそうなのでしょうか?
隣国に「超格差社会」を持つ中国があり、そしてアメリカという国があり、
日本だけでが格差社会を解消できるのでしょうか?
中谷氏の言う「一体感のある」「暖かい社会」とはどんな社会かしら?
ほどよく貧乏を共有できる社会というイメージしか湧きません。

むしろ問題なのは、格差社会に対しての無関心であり、
マスコミの取り上げ方にあるように思えてなりません。

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